2 地球環境問題の問題点
2−1 地球環境問題の特徴
- 価格競争という経済的な手法では解決しにくい(例えば、太陽光発電はコストが非常に高い。また日本だけが導入しようとすると、輸出競争力がなくなってしまう)
- 対策を行わなかった時の影響(ダメージ)が見えにくいため、説得力がない。影響が目に見える形になってからでは遅い。また、なぜその対策をするべきかがよくわからなくなってしまう。→リスク評価の必要性
- 必要なステップが充足されていない(6参照)
2−2 地域環境問題の特徴
- 影響(ダメージ)が見えやすいため、対策しやすい。
- 先進諸国ではほぼ解決(ただし、発展途上国ではほとんど解決されていない)
3 地震と気候変動の類似性と差
地震 | 気候変動 |
どこで起こるかは特定できないが、 何年かに一度は起こる |
いつかはわからないが、必ず起こる |
どこに影響がでるかわからない |
だいたいどこがダメージを受けるのか予想できる |
どういう影響・被害がでるかを予想できる |
影響が不明確 |
自然が加害者原因は回避不可能 |
加害者があやふや 原因は不特定 |
発生地点に被害が集中 |
地球全体に被害が出る(地域差はあるが) |
普段からどう備えていれば良いかわからない |
普段からどう備えていれば良いかわからない |
4 エネルギー状況
- 1860〜2000年の間で中心的となったエネルギーの変化
- 石炭→石油→天然ガス(固体→液体→気体)
- 残存資源量
- 石油…30〜50年
- 石炭…100年
- 天然ガス…30年
と言われている。結局21世紀末までもたせるのは難しいのではないか?
CO2濃度を減少させるためには、生活レベルを落とすことが必要となってくる。今、エネルギー消費を1/6に落とそうとしてもよほどの必要性を感じない限り無理であろう。いずれにせよ、2300年には資源が枯渇しているであろうが、2050年にエネルギー消費のピークが来るようにしなければならない。
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講義の様子 |
5 国際的な対応
1988 | トロントサミット |
88.11 | 気候変動に関する政府間パネル(IPCC) |
91 | 気候変動枠組み条約 初会合 |
92.6 | リオ地球サミット UNCED |
95 | COP1(以下続く) |
97 | COP3 京都会議 |
京都会議で、ヨーロッパはCO2を8%削減、アメリカは7%削減に対して日本は6%削減の目標に決定。だが翌年の98年には10%増えてしまい、すでに16%削減する必要があるが、非常に難しい。それは政治的問題だけでなく物理的にも難しい。
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6 解決へのステップ
技術で解決:リスク、環境、資源が基本
- 現象把握、メカニズムの解明、予測
- データからのモデルの検証
- Mitigation Measure:Avoiding Costを検討
- Damage Costの特定←環境影響の評価←現象の把握から
- Adaptationの特定
- 経済的側面、実施上の問題
- 経済的負担をより減少するために、より広範囲な自由度の中から解決策を模索
国際的な対策を行うにあたって、最終的には政治的に対応することも必要となってくる。例えば、CO2削減に反対する国でもサウジアラビアの理由は石油が売れなくなることである一方、中国の反対の理由は経済発展が阻害されることである。
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講義の後のディスカッションの様子 |
7 解決策
7−1 技術的解決策
石炭、石油、天然ガスへの対策で70%を減らすことができるとも言うが、長期的に見るとそれでも排出されるわけだから、最終的には再生可能資源か原子力に頼るしかなくなる。
7−2 再生可能資源
再生可能資源には、水力、木材、太陽光、太陽熱などがある。太陽から来るエネルギーの0.1%しか私たちは使ってないので利用価値はあるだろうが、効率が悪いという弱点がある。経済性を重視して検討する一方で、効率は上げる努力も必要である。
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8 まとめ
地球環境問題(地球温暖化)のような問題は、技術的にはいろいろな可能性はいくらでもあるが、経済性で問題となってくる。
問題が起きてからでは遅い。必要が生じないと対応しないところを、必要のないところでいかに必要な対策をするかが大切である。
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