過去10年来警告されていながら現実の対応には多くの困難があって有効な手段がとられなかった地球規模気候変動、いわゆる地球温暖化の兆候もすでに認められているという見方が強くなっている。このような温暖化は現在の人間の生存の基本であるエネルギー資源の消費と切り離せない本質的な問題である上に、先後進国格差や資源消費の公正性などが絡んだ複雑な様相を呈しておりその解決はには多くの障害があると見られている。97年の第3回枠組み条約参加国会議(京都会議)で決定された京都メカニズムはこれを解決する一つの手段と見られているが、未だ参加国の足並みはそろわず機能していないなどその実現にはまだ時間がかかると予想される。
この中で技術による解決はそれがすべてではないまでも比較的抵抗の少ない手段であり、他方で新しい産業創生などの期待も残される。温暖化問題が議論され出した90年ころから多くの技術が提案、研究され、コストを無視すれば抜本的なCO2排出削減も夢ではないという評価がなされている。本講義ではこれらエネルギー技術を中心とした温暖化防止策の背景、現状から今後必要な課題などを広く紹介して、今後われわれがどのようなところで努力すべきかを議論する材料としたい。