責任教官 丸山真人 後藤則行
20世紀、人間社会の発展には目を見張るものがあった。あたかも科学がもたらしたこの豊かな社会の発展が、永遠に続くかのように思われた。永遠にこの生活が続くように思われた。しかし、今日では今の豊かな社会の限界が見え始めている。熱帯林の破壊、地球温暖化、砂漠化、資源の枯渇など人類は今までに類を見ない問題に直面している。地球には限界があるのだ。
環境問題を考えるときに「自然vs人間」、「開発vs保全」という見方をしていては、どちらかを否定してしまいかねない上に、環境問題をあまりに単純化しすぎている。そのような二項対立を越えて、人間の活動と自然保護を両立させる方法を見つけ出すことが必要である。
環境問題は今この地球上で起きており、刻一刻と深刻化している。しかし現状と原因のつながりが見えてこないと、解決への第一歩となる問題の認識さえ難しい。また、どれかひとつの問題に固執していては、様々に絡み合っている環境問題を解決することはできない。広い視点を持った上での包括的アプローチが必要なのである。
本講義「環境の世紀・未来への布石VII」ではさまざまな分野の研究に取り組んでいる講師が、それぞれの分野から環境問題について講義をしていく。それぞれの講義の内容がどの部分で結びついて、どの部分でぶつかるのか。一つ一つの講義のつながりを明確化するために、今回は副題「持続的社会の構築に向けて」をつけた。受講生一人一人が講義間のつながりから浮かび上がってくる「持続的社会」というひとつのヴィジョンを描いてくれることを願ってやまない。
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