2003年、環境三四郎は創立10周年を迎え、2004年は「次の10年」へ第一歩を踏みしめる年となります。「次の10年」へ向かう現在を実感し、改めて今までの活動を振り返ることを通じて、近未来の環境三四郎の姿を思い描くことを目的としてワークショップが行われました。なお、このワークショップは2004年8月7日〜9日に行われた環境三四郎全体合宿の企画の一つとして行われました。 【文責 10期・佐藤直子】 関連ページ『温故』今回のワークショップのテーマは『温故知新』と銘打たれ、4期から12期まで幅広い世代から20人を超えるメンバーが参加しました。全体としては「温故」にあたる前半部と「知新」にあたる後半部の2部構成で進行し、前半後半それぞれにグループに分かれ、テーマに沿って話し合いが行われました。 ワークショップの始まりは、各世代が均等に散らばるよう3グループに分かれ、今までの三四郎の活動について俯瞰しました。ここでは、10年間の活動の軌跡を伝えることが目的ではなく、過去の成功例や失敗例から未来を描いていくことを目指していました。よって、具体的な活動そのものについてではなく、当時の活動を担っていた人が思い描いていたもの、抱えていた問題などを中心に、上の世代の人から話を聞き、それをまとめていきました。グループに分かれると、上の世代の「先輩」を中心に自分が活動していた頃に何を思っていたかを話し、そして現在駒場で活動の中心を担っている11期12期が今三四郎に何を求めていて、何を感じているのかを聞きました。 或るグループでは目標、現実、理想に分けて変遷を追う形で整理し、テーマ講義やきゃんえこ、エコプロにおいて現在の活動の基盤となる過去の活動がどのような意識でなされていたのかを改めて確認していました。具体的には、過去に「先生方からの信頼を得る」テーマ義を意識していたことや、駒場祭の環境対策においてシステムを構築しようとし、実際に現在まで通じる「基本形」を作り上げたこと、自分たちの活動はボランティアではないという意識をもっていたことなどは、現在の環境三四郎の活動の基礎を成していると言えるでしょう。他には、プロジェクト制を採用して以来続いている弊害を認識したり、あるいは長年の悲願であった女性比率UPを12期で達成したことを喜んだり羨んだりしました。また、別のグループでは三四郎に入ってからの個人的な意識の変化を追って、環境三四郎に対する個人の意識が「環境」から活動の場における人間関係などを経て次第に人的ネットワークへ移行していく過程をまとめていました。環境三四郎に入ってから環境問題への見識が深まる一方で、ただ活動をしているだけではいけないという葛藤もあり、考え方の異なる人と意見交換することの必要性を認識していきます。そして、駒場時代を終えて本郷生や社会人となった三四郎メンバーの意識の変化ついても、個々人の目標への過程で環境三四郎を有効に「利用」していけるとしていました。さらに、もう一つのグループは、活動のフィールド(global⇔local)と性質(NGO⇔サークル)という2つの軸で意識のあり方や具体的活動を配置し、意識にばらつきがあることが多様性へと繋がっていると結論付けました。 グループによってまったく違うまとめ方をし、結論も違いましたが、どのグループでも共通して話されていたことがありました。それは、駒場時代に他人と活動することの楽しさと難しさを経験することから生まれる、考え方の異なる人と真面目に議論できる場やactionに対して必ずreactionのある環境が自分自身の成長になっているという実感でした。 すべてのグループが話し合われたことを発表し、三四郎の様々な側面についてシェアリングをしたあと、休息時間を兼ねて、ワークショップ前半で話し合われた痕跡の残る模造紙を自由に見て回りました。ホワイトボードに貼られている模造紙を囲んで、上の世代の人同士で思い出話をしていたり、他のグループの内容に思わず口元が緩んでいたりと、休み時間になると『三四郎らしい』和やかな雰囲気が流れていました。 『知新』しばらくの休憩の後、またグループを編成しなおし、近未来の三四郎について話し合いました。この場では、前の時間で挙げられた三四郎のこれまでの経緯を踏まえ、これからの三四郎の目指すところ、現在起きている具体的諸問題への問題解決の方法などを考えました。 問題になっている点として具体的に挙がったのは、アウトプットの不足とプロジェクト間の壁の存在、社会人と学生の乖離などでした。一つ目の問題である環境三四郎が活動の質に比して、それを認められていない、あるいは広く周知できていない理由として、積極的にアウトプットしていく活動が近年少なかったことが考えられました。この問題の解消の方法のひとつとして、かつてのVIPのようなアウトプットを主目的とする活動があってもいいのではないかという意見が出ました。また、プロジェクト間の壁については、人的交流の不足とプロジェクト毎の専門性の高さが原因として考えられ、比較的時間の取れる朝のミーティングや、飲み会など砕けた雰囲気の交流の機会を増やすことで互いに理解を深めていくことが大切であると確認しました。最後に、学生と社会人の乖離については、環境三四郎が活動を重ねていく上で避けられない問題であり、今後もっと重要になってくる課題であると考えられます。社会人は時間的余裕が少ないのに対して、駒場部門を担う前期世代にとって社会人との交流は自分自身の成長につながる貴重な機会であり、今後、学生と社会人との距離を縮める契機となるような場を提供していくことが重要になっていくと結論付けました。 環境三四郎の未来については、更なる活動の充実とそれに伴う組織の拡大があげられていました。具体的には海外の大学との交流・提携や、東京近郊以外での活動拠点想、地域通貨の発行、いろいろな切り口を持つ研究者を抱えるNGOとなる、などの意見があり、最終的には様々な興味と専門分野をもつ人と人との交流の場として機能し続けるとともに、社会的インパクトの与えられる集団にしていきたいとまとめられていました。 まとめこのワークショップを通じて、環境三四郎の長所と短所を改めて認識することができ、有意義な時間を過ごすことができたと思います。実際に、駒場部門ではアウトプットに関するミーティングが行われたり、朝ミーティングが行われたりと、早くも更なる躍進に向けて環境三四郎は動いています。今後も、外部から見た環境三四郎についての意見を聞かせてもらう働きかけや、自分たち自身で反省する機会を大切に、次の10年、20年と続いていく組織であったらいいなと思いました。私はとりあえず飲み会開催と、時間・期限を守ることとから始めてみようと思います。 関連ページ |