多分皆さん副学長ってのは知らないと思うけど、うちの学長の名前は知っている?ちょっと、うちの学長の名前を知っている人手を挙げてみて。学長の名前知らない人手を挙げてみて。ほー、じゃあやっぱり知らない方が多いんだね。ささきたけしっていうの。覚えといて。ささきたけし。まぁ、それはどうでもいいんだけど。(一同笑)
私は今ご紹介頂きましたように副学長もしていますけども、化学システム工学の教授もやっておりまして。
今日のお話はですね、地球持続の技術という本を2年くらい前に岩波新書で書いて
そこのお話が半分くらいです。それで、今日お配りしたレジュメの方に大分書いてあるんですけども、
昨日またサービス精神が出て来て少し夜作業したんで少し違ってるんでまたこれ(pptデータ)は置いときますんで、必要ならばコピーしてもらっておいて下さい。
今日お話しするのは、
まずあのーもちろんもう21世紀に入っているわけだけども、20世紀から21世紀へということが一つ。もうひとつは、今景気が悪いとかですね、
日本の問題もいろんな所で言われているのをいろんな所でご存じだと思うけれど、我々はやはり大学で勉強する、特に君ら、リーダーになって欲しい人たちは、長期を見る、長期を俯瞰する、上から見る、全体を見る、bird view、鳥が見るように、全体を見る、鳥瞰とも言いますね、全体を見て、長期を見たうえで現在のことを考える、これが必要不可欠です。
明日の事ばかり見ていると、かえってものが見えない。ということが起こる。そのことを言います。もう一つは、ここからは具体的に環境の問題で、
エネルギーというのが非常に重要な問題ですが、エネルギー利用の効率という問題をやります。例えばごみ発電というのがあるが、ごみ発電なんかは、あれは発電といえない。あれは、ごみの熱量のうちの7-8%しか電気にしていない。ところが最先端の発電所ってのは52%。メタンを使わないところも多いですけれど、メタンの熱量の52.8%を具体的には世界記録で電気にしています。これは理論値の大体50%くらいの発電効率。発電効率も理論値は大体100%近い。その理論と現実の話もするけれど、その発電効率の8%の技術と50%の技術ってのは全然違って、8%の技術は42%を無駄にしているってことだよ。
だから、ごみ発電所ってのは発電をしてるけど、外には殆ど出していない。ほとんど自分の発電所を動かすのに使っちゃっている。そういったようなエネルギー利用の効率ってのをやる。一番発電効率がいい52.8%って発電所は、もちろん日本にあるんだよ。だから、日本の効率は世界一位。トップの発電所は日本にあるし、発電効率が高いのも日本。いくつか日本の話をする。
脱硫。硫黄、窒素の酸化物がかつて四日市公害とかいろんな問題をもたらした。今でも排気ガスとかいろんな問題になっていますね。世界で圧倒的に脱硫やってるのは日本ですよ。あのー、脱硫って分かります?排煙脱硫。火力発電所かなんかで燃やすと、その中に硫黄分(S)が酸化硫黄というかたちで入ってくるわけ。それを取り除く技術を脱硫という。硫黄を抜くって意味で脱硫っていう。世界に4000機のの脱硫装置があります。そのうち3200機は日本に置いてるんだよ。信じられないだろ。アメリカはもちろん一番たくさん発電やっています。その次に一番たくさん発電やってるのが日本。その次がドイツ。っていきますけど、世界の脱硫装置の80%は日本で持ってる。アメリカなんかは日本に比べると、脱硫はしていないに等しい。だから、それが雨に混ざってくるから、アメリカの酸性雨の問題ってのはもちろん日本と比べたら圧倒的に深刻。ドイツなんかも同じ。そういうような状況で、黒い森というのが非常に枯れて問題になっているわけ。
酸性雨の問題が多分関係あるだろうと言われているのが日本にもあります。日本海側で酸性雨が起きているが、中国の石炭の発電所で除くべきものが偏西風に乗って運ばれたものが中心だと思われる。
あとは日本でも、自動車から窒素酸化物が出る問題がある。窒素を取るのは脱硝と言う。硝酸の硝だね。
脱硝設備の75%は日本で持っている。
ということで、日本にいいものはものすごくたくさんあります。そういう問題も君らに少し自信を持ってほしいから言っておきたい。
もう少し自信持ってほしいから言っておくと、日本の生産力とマーケットの大きさは世界で何番目くらいだか知ってるかい?世界で一番大きい生産力とマーケットもって国はアメリカだよね。アメリカは世界の24%。第二位は日本。世界第二位の生産力があって消費もしてるのは日本です。14%、お金にすると500兆円というお金です。第3位はドイツです。第4位はフランスです。第5位がイギリスです。日本の今言った14%ってのは、ドイツとイギリスとフランスを合わせたのと同じ位。
だからアメリカは24%で一番大きな国で、その次に日本で、その次に3つ合わせたのが大体日本と同じくらい。大体これが世界の経済です。私はOECDの一つの委員会に出ていますが、そこに行くと、日本やアメリカのような大きな国の話ばっかりしてくれちゃ困る、というような意見が、ベルギーであるとかイギリスカナダでもでてきます。だから、そのような意味で責任も非常に大きい。だけどね、環境問題に関して、さっきいった脱硫脱硝ってのは世界の75%80%を日本でやっている。アメリカは日本より遥かに大きいエネルギーの消費をしている。
こっちの方が遥かに席にん大きいんだよ。二酸化炭素の一人当たりの消費量で、、、、きりがないからやめよう。
一つはエネルギー利用の効率、もう一つは循環型社会。それから自然エネルギーという問題。この三つを環境問題の要素として話します。あと、駒場でこれから勉強しようとしている諸君に言っときたいことは、勉強の仕方。知の爆発。20世紀は膨張の時代だったけれど、一番膨張したのは知識の量だよ。20世紀の間に1000倍くらい知識の量が増えている。その時に、昔の人たちの同じような勉強の仕方してるとだね、頭は昔の人たちよりいいわけでない、同じなんだよ。アリストテレスの時代なんて知識の量は本当に少ないから。だから数学とか論理学から哲学からとかが出来ちゃうんです。20世紀は、人間の活動が膨張した世紀だったってのをデータで占めたものです。
まず人口、これは60億人。そのうち約4分の1近くが中国にいる。日本は1億3000万人。大体数字覚えよう。人口は現在60億人。20世紀の間に3.5倍くらい。人口が増えただけじゃない。一人当たりの活動量も増えている。
穀物の生産量。
調べてみてどうってこと無いんだけど驚いたのは、三大穀物ってのは米と小麦とトウモロコシだけど、生産量が3本全く同じグラフになる。これは驚いた。まあ、ただ驚いただけですが。7.5倍に穀物の生産量が増えている。
人口は3.5倍で、穀物の生産量が7.5倍ってことは、一人当たり穀物を1900年の人と比べると二倍くらい食べていることになる。
飢えている人が昔よりは減ったってこともあるけど、一番大きいのはトウモロコシを牛が食べて、その牛肉を人間が食べる、という食物連鎖だと量が減るっていうことだろうと思います。人口は3.5倍で、穀物の生産量が7.5倍で、人間の一人当たりの活動量も増えている。次が、鉄。
工業生産物の代表的なものとして、鉄の量を持ってきました。鉄の生産量は20倍に増えている。だから1900年から比べて一人当たり大体6倍くらい鉄を使っていることになる。アルミニウムになると、4000倍。こういうものでもって、20世紀ってのは膨張の世紀だった。特に20世紀の後半で膨張している。目で見て明らかだね。こういうデータ集めるのって結構大変なんだよ。うちの大沢さんがひと月くらいで集めてくる。欠けているデータはある種の推算で出すんだ。そしてエネルギーの供給。これは割合良く見るね。これも25倍くらいに増えているね。1900年頃は殆ど石炭でやっている。一番にふくれあがって来ているのが石油。途中からふくれあがって今石炭に近いくらいの量まで来たのが天然ガス。石油と、石炭と天然ガスを合わせると、85%か90%になる。これが人間が使っているエネルギー。水力、原子力はほんの少しです。世界で見るとこういう事。先進国だと原子力の割合が増えてきます。人間のエネルギーは、石炭、石油、天然ガスを化石資源って言います。それと水力と、原子力、そしてあと一つあります。それは薪。バイオマスという言い方をする場合もあるけど、インドなんかでは牛の糞なんかを燃料としている。生物の資源ということでバイオマスという表現をしますけれど、殆ど薪だよ。途上国中心に、エネルギーとしてバイオマスを使っている。これはどこでどれだけ使っているかは統計では正確にはとれない。だけど、色々な形で推算がされていて、10%くらいの量だろうというのが大体の推算です。水力と核を合わせた位の発電量だろうという感じです。僕は太陽電池大好きで、うちにも積みましたが、太陽電池なんかは統計には入ってこない。0.000何%とかそんなものです。
人間が今使っているエネルギーでは、バイオマス10%、原子力5%、水力発電5%、化石資源80%。
これが今我々が立脚しているエネルギー源。これしか無い。風力発電はまだ統計に出てくるような量になっていない。あとどんなものがあるかな?地熱か。地熱は確かに実用されている。潮力もあるね。潮力はフランスのランシーに一つあって、30万kwくらいの発電をしてるんだけど、あれは日本の少し大きめのダム1個くらいです。あとなにがあるかな?水素?水素ってのは資源じゃない。電気と同じ媒体。
エネルギー資源ってのは掘ったら出てくるとか、待ってたら降ってくるとか、そういうあるものだから。資源は、太陽からやって来るか、太陽からやって来たものが溜まって資源として埋まってるか、地球がまだ冷えきっていないから地熱が出てくるか、とかだ。水力なんてのはもちろん太陽だ。水が海から蒸発して、高いところに降った。この位置のエネルギーが落っこちてくるのだから、問題なく太陽エネルギーだ。原子力ってのは、核反応によるエネルギー。これはウランが資源だ。エネルギーは、エネルギー保存則ってのがあるんで、掘ったら出てくるものを使って、電気とかガソリンとかに変換してるんだ。ここで言いたかったのは、20世紀ってのはデーターで見る様に膨張の世代だったってこと。一つは人口が3.5倍に増えたけど、もっと大きいのは一人当たりの活動量が増えた。その結果様々な環境問題が起こって来た。環境問題は、昔は水俣の水銀の問題の様に、「誰かが悪いものを出した、そのおかげでもって被害者が出た」という構造だった。しかし、今私が申し上げた、これから問題になって来るいわゆる地球環境問題は、加害者はあなた、被害者もあなた。このことはよく認識しとかなきゃいけない。地球環境問題ってのは、例えば二酸化炭素の発生ってのを議論するのなら、加害者は私、こんな部屋で冷房なんてやってるんだから、加害者は君なんだ。20世紀は膨張の世紀だった。その結果、地球の有限性ってのが明確になった。二酸化炭素の濃度というような、生態系が有する極めて基本的な因子が、明瞭に増え出した。それも20世紀の後半になってからだ。このままいくとどうなるんだということだ。これが、長期の予想をしろということ。
今日の話はエネルギーと物質。例えば生態系の話は殆どしない。レイチェルカーソンが沈黙の春で警告したような、微量有害物質。こういう話も私の議論の範囲にはいれていません。ここでお話しするのは、大きな物質。ビルとか自動車とか、我々が使う量的に大きな物質。それからエネルギー、この二つに関してお話しします。問題の範囲を限るってのが非常に重要です。そうしないと議論が噛み合ないからです。テレビの議論なんて殆どそうですね。どこをベースに議論してるかがデタラメだから。朝まで生テレビとかいって、いつまで議論してても最後まで結論は出ない。この人はこういう立場から〜〜、この人はこういう立場から〜〜。そういう風にはしない。私のこの議論は大きな物質に関すること。そういう立場で20世紀の今の傾向を勉強して、なにが問題かで3つあると思う。一つは大量の廃棄物の発生、地球の温暖化が誰にも明確になって来た、80%を占めている地球の化石資源の枯渇感。この三つがくる。逆にいえば、この三つが同時に答えが出ないと、答えにならない。僕は、20世紀の環境問題の取り上げ方は、もう終わったと思っている。あれが問題だ、これも問題だと、問題提起をしたのが20世紀だ。問題の構造はもう明らかになってると僕は思う。相変わらずマスコミが、あれが問題だ、これが問題だといってるけど、まあ言い続けてもいいけれど、あまりにもあれは先導性が無くて、あれは無能だと思っていい。もう、告発の時代は終わった。告発の、もっともパイオニアリングなものは、やはりレイチェルカーソンだと思う。まだ、みんなが本当に明瞭に意識していなかった頃に、沈黙の春を書いて、春に小鳥が歌わなくなるぞ、と言うことを、非常に論理的にいったたわけです。蝶々が舞わなくなるぞ、ある時鳥がバタッと落っこった、というようなスタートから、微量の有害物質の危険性を言ったんです。これは、当時のケネディ大統領が、今のブッシュ大統領なんかよりはるかに素敵な大統領が、非常に強い影響を受けたという本です。その次に有力な警告が、ローマクラブのlimit of grow、成長の限界。これは地球の資源、環境の有限性。この二つが、極論すると、非常にパイオニアリングな警告だったと僕は思っています。日本なんかでも、複合汚染だとか、色々ありました。でも、本当にパイオニアリングなのはこの二つだった。もう分かったんだよ、大変なのは。君らももう嫌と言う程聞いただろ。環境問題大変だ、地球は有限だ。答えは何なんだよ、答えは?いいんだよ、もうしょうがない、自動車やめようってのも、もし本当に唯一の答えならそれでいいんだよ。それも一つの答えでしょ。僕は、その一つじゃない答えがあるって提案してるんだよ。答えの提案がいくつかあって、そのどっちがいいか選ぶのが21世紀だと僕は思う。少なくとも、この三つの問題を同時に解決する方法でないと、今の生活の物質的な水準を維持しながら、世界が成り立っていく、あるいはその先の展望が出ることは、無いと思う。それで提案をしたのがビジョン2050というのだ。ちょっとそこまでいくのに時間がかかるが。
なぜこの3つか。まず、作ったものは必ず寿命があって廃棄物になる。だから大量廃棄物が出る。これは国土交通省が1995年に建築廃棄物がどれだけ出るか予想したもの。どんどんどんどん増えていく、2050年になってもまだ増えていくよ。こんな予測するの簡単なんだよ。だってすべてのものは寿命があるだろ。先ほどのカーブを思い出してくれよ。例えばビルだって鉄とコンクリートが主成分だろ。そうすると、ここで作ったものが平均の寿命が例えば50年だとする。今日本のビルは平均で33年て言われてるんだ。ヨーロッパのは石造りとかの伝統があってもうちょっと長くて60年とか言われている。そうすると、この時使った鉄が50年経ったら廃棄物になってくるってのは単純な話だろ。これ質量保存則しか使ってない。物質の保存則。鉄は消えないんだから。そして、もう始まってるんだぞ、これが。六本木ヒルズで始まってるだろ。そしてニュー丸ビルでもって始まってるだろ。要するに、そんなに難しいことしなくたって、物質は保存される、鉄は鉄だ、ということ、あらゆるものには寿命がある。船は20年かもしれない。橋とかは7.80年かもしれない。例えば我々が賢くなって、30年だった建物の寿命を50年に延ばせたとしよう。都市ってのは僕がいってる物量から言えば建物と自動車と高速道路ぐらいからで来ているじゃないか。そうすると、毎年50個に1個の都市が廃棄されて出てくるってことだよ。50年経ったら今あるものは全部廃棄されてるってことだよ。少しずつ起こるから。六本木ヒルズが廃棄されて立てたり。そういう時代にある。じゃあその廃棄したものをどうするか。捨てるとしたら大変だよ。どこに捨てるか。日本には無いよ。そしたら、砂漠に捨てるか海に捨てるかしかないだろ。
もうどこも殆ど住んでるんだから、人が住めるところは。モンゴルの草原を借りてそこに捨てようって話は出ないだろ、人間が賢いなら。そうすると我々は循環型社会を作るしか無いんですよ。
それから地球温暖化、これは今日やらないけれども、地球の温度を予測する式ってのはたった一つなんだぞ。原理は単純なんだ。地球は、もし太陽が無ければ宇宙と同じ温度だな。まだ冷えきってないから内側に少し熱い部分があるけれども、地球は自分で発熱してないんだ。太陽と違って核融合なんて殆ど起きてない。だから、地球なんてのはほっておけば何億年か後には月と同じに冷え固まる。しかも2ケルビンか3ケルビンまで冷える。
そういう、宇宙の真空中にぽっかり浮いた玉なんだ。太陽があるからあったまるんだ。昼間でも放射ってやつで冷えているんだ。
真空で、0度でない玉が熱を受けたら放射するだろ。地球の温度が太陽にあっためられて温度が高くなると、たくさん放射するんだよ。太陽から地球が受けているエネルギーってのは、
理想的な効率100%の太陽電池を作ると、1360W/m^2となる。うちのは発電効率は17%だから、大気圏まで持っていくと0.2kWくらいになる。
これに地球の断面積をかけると、これが地球があったまる速度。これと冷える速度がつり合う様に、地球の温度は決まります。これ、一度でいいから計算して御覧。そうすると、理論てのは偉いもんだなって思うよ。278K、5℃これが一番簡単なモデルでの地球の温度。温暖化ってのは、アメリカが、最近は言わなくなってきたけど、(僕は反米じゃないよ。アメリカにも仲いい人たくさんいる。)
アメリカが温暖化に関していってることはでたらめなんだよ。温暖化ってのは間違いない事実。278Kだけど、大気があるから今のモデルとちょっと違ってくる。雲で反射されるってこと。そうすると、さっきの1360Wってのが減ってくるんだよ。それを入れると255K、-18℃くらいになる。でも現実には15℃だろ。それは33℃の温室効果があるから。この温室効果をもたらしているのは、一番は水、その次が二酸化炭素。ほとんど大気のない火星なんかはさっきの式で決まってしまう。火星の場合は現実に228Kだよ。-50℃くらい。地球の、惑星の温度はこんな単純な原理で決まっている。
金星は、温室効果が460℃くらいある。あそこはだから熱いよ。
太陽に近いってこともあるけど、90気圧の二酸化炭素が大気で、温室効果がある。
CO2の濃度が上がるってことは、方向としては金星に近付くんです。だから、二酸化炭素の濃度が上がれば温暖化するということは疑いの無い事実です。後はそれに人間がどういう風に対応していくかということです。細かいこと質問されたらまた答えるから、ここはもう飛ばそう。
で、私のビジョン。これは一人で考えたんじゃありません。十数年多くの仲間と議論した結果ですが、私の責任においてのビジョンです。物質的循環システムの構築する。これをしないと、どんどん作って砂漠や海に捨てていこうとなるから、それはやはりやるべきでない。だから物質循環システムを作る。大きな話でね。エネルギー効率を三倍にする。
後で自動車の例で話しますが、同じガソリンの燃焼を持って同じ大きさの車が3倍走るようにする。自然エネルギーを2倍にする。今人間が使っている非化石系エネルギーが20%で、自然エネルギーを同じだけ開発してこれを倍にする。これを2050年のモデルとするのがいいのじゃないか。これを技術の専門家として、出来る限りの事を検討しているわけです。その時に考える非常に大きな事として、2050年のエネルギー消費はほっておくとどうなるかということがある。
ほっておくと230億トンの化石資源の消費になる。2050年のエネルギー消費45+2.3*80=230今は、地球上に60億人いて60億トン化石資源を使っている。このうちの45億トンを先進国が使っている。(a)ここは今のままキープする。物質とかエネルギーに関して今以上のことはしない。で、2.3というのは日本とヨーロッパの平均。一人一年2.3トン使っている。アメリカは6トン使っている。だから、アメリカはもう少しどうにかしてもらわないと、世界の議論はしにくい。そして、今途上国である人たちが2050年には80億人になるだろうと考えられている。この人たちが日本やヨーロッパと同じような物質、エネルギーのサービスを受ける。これを一つの基準にしようということ。これならビジョンになるだろう。途上国にもう成長するなとはいえない。しかしそうすると、230億トンのエネルギーを使うことになる。これは破綻。じゃあどうするかという話だ。サービス当たりのエネルギーの使用量を3分の1にすれば何とかなるという、これがエネルギーのシナリオ。Business as Usualという言い方をするが、ほっておくと235になる。(b)安いのは石油石炭天然ガスだから、みんなそっちへ行く。こうなると、二酸化炭素は600ppm。産業革命前の280ppmの二倍を超える。さすがにこれをやると石炭もなくなる。破綻するか、なにもやめようかと議論してるのは20世紀の告発型なんだ。答えを出さないと21世紀はいけない。
ビジョン2050ってのは単純だからね。サービス辺りのエネルギー消費を1/3にする。エネルギーの効率を3倍にするってこと。1/3の電気で同じ冷房をするってこと。1/3のガソリンで同じ自動車を動かすってこと。そうするとちょうど今と同じくらいのエネルギーの使用量になる。それでも地球は450ppmにはなる。現実にはどうしようもないが、破滅的には温かくしない。
私の大すきな太陽電池の技術も発達してくるだろうし、みんなの社会もバイオマスをどうやって使うかってのも分かってくるだろうし、あるいは原子力発電所をどうやって安全にやるのか、逆にやらないというチョイスだってあるのだと思うけど、そういうことに関する結論もでてるだろうし、それが決まれば惰性でもってこっち(c)にいけるだろうと僕は思う。この根拠は、さっき言った太陽エネルギーの総量は今我々が使ってるエネルギーの1万倍あるんだ。幸いにして。だから何でもいい、風力発電でも、水力発電でも、まぁ水力発電は限られているが、太陽電池でも、バイオマスでも、太陽から来ているエネルギーの1万分の3だけ我々が使いやすい形のエネルギーにすれば今の3倍のエネルギーが使えるということなんだ。というのが、技術からの私の提案です。ライフスタイルの、とかはとりあえずはなにも言わないわけ。
で、次に、本当にエネルギー効率を上げれるのかという話をするよ。
節約ってのには二つあるんだ。例えば暖房だったら、温度下げるってのがあるだろ。僕のいってるのは、例えば断熱ハウスとか。
例えば、君らが下宿に帰ると、夏だとむせ返るように暑い。で、冷房のスイッチを入れる。4.5分経ったらすっかり涼しくなるんじゃないか。あそこで切ったらいけないんだよ。どんどん外からもれ込んでくる。冷房ってのは、外からもれ込んでくる熱をどんどん外に汲み出しているんだ。だから、断熱を良くして魔法瓶に家をすれば冷房のエネルギーは0になる。左側はライフスタイルを節約型にしていこうよというタイプ。今やられているのはほとんどこのタイプの議論。
おれたち間違ってるんじゃないか、という。間違ってる面もあると思う、でもそれは別にやってもらいたい。それは僕の議論の話では無い。ただし、節約が出来て私の議論の話ができればもっとうまくいくんだから。矛盾する話では全然ない。僕の話は効率化の話。
理系の人で、熱力学聞いた人?面白い? ーーー。。。面白くないだろ、実は。熱力学ってのは現実と対応させるとものすごく良くわかるんだよ。今日の話でカルノーサイクルの話はかなり分かるはずだよ。カルノーサイクルってのはヒートポンプ。
熱を仕事にするのがカルノーサイクル。仕事を使って熱を冷たいところから温かいところに汲み上げるのが逆カルノーサイクル。逆カルノーの効率の式は、T1/(T1-T2)だよ。室内が28℃、室外が35℃。(273+35)/((273+35)-(273+28)=44この44って何かと言うと、1kWの熱を使うと44kWの熱を外に運べます。という事。カタログを見ると成績係数ってのが書いてある。私は、小宮山エコハウスってのを作ったんだけど、成績係数は6。普通は4。今年売り出されたくらいの割合高いエアコンは6。今のエアコンは、毎秒1kJずつ電気を消費すると、毎秒4kJずつ熱を外に汲み上げてくれますよ、ということ。44ってのは理想値。
技術が進歩すればここまでいけるぞ、逆から言えばここは超えられないってことだ。4ってことは、理論値の10倍のエネルギーを使っている。
ヒートポンプの技術者と話し合って、今の技術の延長で3倍にはいくでしょうとなった。
そうすると、それだけをもってエネルギーの使用量は1/3になる。さらに断熱をして御覧よ。ガラスを二重にすると、そこの熱の移動のしやすさは1/40になる。カルノーサイクルが分からなくなった時にちょっともおもいだして御覧。効率はですね、、、やめよう。熱力学の講義じゃないもん。
エネルギーの効率には人間が超えられない限界がある。例えば、海水の淡水化ってのは人間に大切な活動の一つ。こっち側に海水がある。反対側に真水がある。で、間に半透膜。
海水へ真水がしみ込んでいく圧力は24気圧。これは海水の濃度で決まる。海水の側に24気圧をかける。そうすると、真水がしみ込んでいけなくなる。
もっとかけると、海水が真水側にしみ出してくる。これが海水の淡水化。今は、80気圧で押している。それくらいでやらないと遅い。でも、24気圧で押すのが一番エネルギー少ない。24気圧に限りなく近付ければ、人間はエネルギーを節約できる。そのためには薄くて強くて、水しかとおさない幕を開発しなさい。
それで、ナノテクとかいろんな話が出てくるわけ。理論はたよれるか?と言う話。最後にたよれるのは理論。理論が24気圧。使っているのはたった3倍。これを外れているのは悪い技術だから、改良できる。自動車行こう。自動車の省エネ。今言った理論でいくと、ガソリン消費の理論値はゼロ。なぜかっていうと、摩擦を0にして御覧という事。地球がなぜ太陽の周りを回っているかっていうと摩擦が0だから。水平移動は理論値は0なんだよ。電気自動車が分かりやすい。バッテリーでモータを動かして、摩擦が無ければ永久に止まらない。普通のブレーキってのはこすりつけて熱エネルギーにする。
そのときモーターを回すとブレーキになる。そのかわり発電出来るから、それをためる。交差点で止まるとき、エンジンは止まらないからガソリンは燃えているんだよ。あの時、その分充電しとけばいい。てことをやるんだ。人間の技術ってのは相当進んでいますから。もう一つ、ガソリン消費は重量に比例する。重さだよ。大きさじゃない。大きくたって軽い自動車はエネルギーを消費しないんだよ。なぜか。
自動車のエネルギーはなにに使っているかというと摩擦なんだ。普通に走っているときの空気との摩擦はたいした事ない。地面とタイヤとの摩擦なんだ。タイヤとの摩擦は重さに比例するだろ。だからこうなる。自動車のエネルギーを減らすというのは、一つは重さを減らすという事。同じ大きさで、重さを半分にすればいい。カーボンナノチューブになれば鉄の1/10の重さなんだ。これを書いた頃は恐る恐るだったけど、今は4倍と言わずもっといけると思う。理想は馬。タイヤがいけない。馬ってのは蹴るでしょ。地面を蹴って、次に地面につくまで飛んでいる。実質的には摩擦でいうとほとんど0に近い。大体自動車は100馬力ある。馬って何馬力ですか?大体一馬力なんだね。1/100で馬ってのは走っているんだよ。馬は大きな馬5、600kgあって、軽自動車と同じくらいある。スバルは300kgで作ったってんだから。エアコンは当時世界の最高が三菱のエアコンで4だった。それが今(2002年)で6なんで1.5倍。だから、エネルギー効率3倍ってのはいくんですよ。
ビジョン2050は過激なんで今まであまり日本では言ってなかったんですが最近言い出した。私は日本のエネルギー消費ってのは2050年には1/3になると思ってる。よっぽど人間がバカなこと考えなければそうなると思っている。半分にはなると思っている。我々は1/3になることを目指すべきだけど。一つは人口が減る。あんまりいい状況じゃないけれど、今1億3000万超えている人口が1億になる。やっぱり日本としては、働く女性が子供作って行けるような状況を作っていかないと、国としてとても問題だと思う。森首相って前の馬鹿な首相が言ってるんですよ。女性は子供を3人も4人も生むことが国に対する貢献で、好きなことして遊んで子供生まなかったりする女性が年取って年金を要求するのはどうかと思うって言ったんだよ。これから女性もはたらかないと、男が働く分だけで年金なんて払えるわけが無い。
スウェーデンなんてそうですよ。原則として働ける人はみんな働く。働くってのは、人の喜びだからね。2007年が人口のピークで人口が減ります。もう一つは、汎用素材っていって、鉄とかプラスチックとかがエネルギーの30%を使っている。
我々が半分、ものづくりが半分。ものづくりのうち60%は素材製造産業だけど、これは日本からどんどん消える。循環型社会になっていくことが一つ。もう一つは日本は高付加価値をどんどん求めていくってこと。物質循環システムを構築しなければいけない。僕は構築できるってことが言いたい。日本の新しい車の生産台数は、600万台ってところでどんどん一定に近付いてます。もうみんなが持っているから。君らは持ってないけど、君らが買う頃には誰かが車がいらなくなって手放す。今の保有台数は7000万台あって、ほぼ全員に行き渡った。12年間で回るとすると、1年間に600万台廃車になる。日本の車の売り上げは600万台以上にならない。
先進国はみんなそう。韓国だって2人に1台持っています。もう飽和して、捨てただけ作ります。僕らは無限に作り続ける必要は無い。捨てないでもう一回使う、これが循環型の社会。捨てた鉄で新しい自動車を作ればまわる。丸ビルや六本木ヒルズも同じ話で、東京は空き地はもう殆ど無いんだ。だから新しいものを作る時、前のものを壊す。これを僕は人工物の飽和と呼びたい。エネルギーは別だぞ。セメントの生産量。世界で1番、莫大な量のセメントを作っているのは中国。世界の1/3のセメントを作っている。これはまだ飽和になっていない。新しい高速道路を作ってるわけ。更地にビルを造ってるわけ。でもこの勢いもそんなには続かない。飽和するんだから。そうしたら、日本と同じ状況になる。無限に鉄を作り続ける必要はない。もうストックがある。循環型のシステムを作れればいい。その知恵を作れるかどうかが我々に科せられた使命。
リサイクル。コストがかかる、手間がかかる、エネルギーがかかると言う。ま、今のシステムでやろうとするとホントなんだよね。だってシステムが出来てないんだもの。でもこの中で唯一間違いがある。真っ赤な嘘がある。エネルギーがかかるってのが真っ赤な嘘。これも最後は理論なんだよ。今でも鉄とアルミニウムってのはしっかり回っている。量的には鉄とアルミニウムは循環型社会が出来ている。
アルミニウムはまとめておいておくと盗まれる。アルミニウムを溶かしたアルミニウムを作る方が、ボーキサイトからアルミニウムを作る方よりはるかに安い。
だから回っているんだ。天然資源のボーキサイトは酸化アルミニウムなんで、酸素を取るのにエネルギーがいる。熱力学でいう、ギプスのジュールエネルギー変換。その理論値の2倍を使っている。アルミニウムを盗んで行って人は、アルミニウムの製造所に持って行く。それを溶かして固めて売る。融解のジュールエネルギーが最小値なんだよ。理論値では還元のエネルギーと溶かすエネルギーってのは83対1。実際は30倍。だから、アルミニウムは集めて来た方が安い。
しかし、集めてきたアルミニウムではアルミ缶はできない。不純物が混じっているからだ。
ここがリサイクル社会の泣きどころ。ここがこれから必要な技術であり、市民がどれだけ協力するかだ。これがリサイクル社会を作れるかの重要なポイント。最近自慢げに古紙で作った紙の名刺を出す人がいる。リサイクルペーパーって言ってね。そんな威張るなよ。強度も色も新品と区別つかないものを出すのが、リサイクルの社会の目的なんだよ。今、鉄でなにが問題かと言うと、銅と錫と亜鉛なんだよ。本当に困ってるのは銅と錫。どうしても銅は混ざっちゃう。モーターの配線とかね。錫は鉄の表面処理に使っている。その錫が、回していくとどんどん溜まっていっちゃう。これをどうするか。最終的にはナノテクとかが絡んでくるんだよ。凄まじい技術だが、絶対に出来る。そういうのを作っていくんだよ。極論すると、錫禁止、銅禁止、銅の代わりにアルミ使う。それで我慢する。銅の方がいいんだけど、アルミで我慢する。鉄の中のアルミってのは分離し易いんだよ。錫の方がいいんだけど、亜鉛で我慢する。そうじゃなければ、本当の技術が解決していく。循環型社会ってのは出来るんだ。一つは人間の決断。エネルギーかかるってのは嘘だ。お金の問題はシステムで開発できる。だから本質的な問題は無い。
自然エネルギーを二倍にしたい。でも太陽電池って今のはカス。それはしょうがない。私は、新幹線に乗ってるまわり見てると、屋根が待っているように見える。
松下電器の、私より5つ6つ若い人が会社やめちゃって、ベンチャー起こした。そのための実験をしています。快適性ってのを人間は求めるから、我慢しようってだけじゃ動かないと思う。過剰なところを我慢しようってのはいい。
自動車だってあんな大きい必要じゃないかって言う。それは僕もいいと思う。それはそれでライフスタイルの議論を進めればいい。
独立に技術の話をする。快適性を落とさないで技術でどこまでいけるかってのを技術者としてやっていきたい。私の家は全電化にしました。ガス使わない。そっちの方が分かりやすいから。それから、徹底的に今ある省エネを考えています。その前に、建て売りの住宅に10数年住みましたが、目は痛いし、鼻はおかしくなるし、あのときから私は花粉症になった。快適にしたくて徹底的に頑張った。ホルマリンとか悪いと分かっているものは使わない。もちろん窓は全部二重ガラス。断熱も徹底的。これは、その場でもって二液を混ぜて、99%は泡になるもの。動かない空気の層ってのが一番あったかい。うちには7cmの動かない空気の層が全面を覆っています。太陽電池はもう少し積めば良かった。お金との関係があったからね。エコキュートってのが、夜間の電気でお湯を沸かすもの。電気でお湯を沸かすってのは損すると思うだろ。でもこれは違う。これはヒートポンプ。大気の30℃の熱を使って80℃のお湯のところに熱を運ぶ。だから、水を80℃のお湯にしてくれるんだけど、1kWの電気で3kWのお湯が出来ますと言うことなんだよ。だから、発電効率が日本で平均40%位だとすると、3倍の熱作れるから効率1.2、ガスでお湯湧かしている人が0.8とかだから、それより地球に優しいんだよ。これが小宮山エコハウス。ガスの配管しないし、ガスの機械買わないから、そんなに高くないよ。電気だからしょうがないから、IH調理器使うし、リサイクル社会は生ゴミが問題だから、生ゴミ乾燥機つけた。太陽電池で、昼間余ったときは東京電力が買ってくれる。足りない時には買う。マニアックな設計士だったんだけど、原理を知らないから、一番電気を使う居間に、白熱灯を付けた。白熱灯の方が色がいいんだって言って。彼はアーティストだから。私は技術者だからそんなのいい。300Wもここに使ってと言うことで、蛍光灯に替えさせました。私が、4月に東京電力に払ったのは2000円。前は20000円だったんだ。日本でも半分は我々が使っているとことで電気を使っています。オフィスとか、家庭とか、自動車とか。この半分のうち相当分いきますよ。日本中の家が全部屋根に乗っける。その頃には安くなっていますよ。5年前に600万円したのが、僕は払ったの200万円だもん。この調子だったら、計算が正しければ10年で元がとれる。壊れるって人がいるけど、私は壊れないと思いますよ。
僕は世の中変わると思いますよ。原子力どうするかってのは判断の問題。日本のエネルギーが2050年には半分か1/3になると思いますが、電気は変わらないと思う。それよりも、自動車以外の最終的なエネルギー形態ってのはほとんど電気になると思いますよ。
それもあってうちは全部電気にしました。今は、昼間東京電力が電気を買ってくれて夜売ってもらうけど、相当量が風力と太陽になったら風まかせとお天気まかせだから、これは変わると思いますよ。だから、今は電気を作るのが電力会社だと思ってるけど、変わると思いますよ。2050年には電力ブローカー産業ってのが出来ると思います。こっちで余ってるのをあっちにもっていく、あっちで余ってるのをこっちへ持っていく。もしかしたら国際的になるかもしれない。それで超伝導ケーブル。出来るかもしれない。それが出来れば、中国の砂漠から太陽電池がくる。それから風力なんて北極までいけば安定に吹いてる風がずーっとあるんだから。中緯度、赤道の方は貿易風。風力発電の最大の問題は安定した風。20%しか大体吹いてないんだ。風任せなんだから。
そこで、どうやって安定に使えるようにするか、そこが半導体の技術なんだ。知識の爆発があるから、同じ勉強をしてたら間に合わない。知識をどうやって取り扱うか。うちの研究室は半分はこの研究をやっている。重要なことは、知識爆発の中で、構造化を意識する。細かいことは必要なんだよ。細かいことと大きなことを同時に考える努力をしよう。
今言えるのはそう言うこと。新しい問題ってのは、融合で出てくる。今の先生の言うこのなんて聞いてたら駄目。俺の言うことなんてもう駄目。っていうのは、最先端の研究ってのは、たこツボだから。先生はそれでいい。そこでやるって人生決めたんだから。きみらは、それじゃ駄目だ。そうじゃないと古いたこつぼに入ってドツボにはまるぞ。そのためにはあちこち勉強しなさい。ただし、やり出したらフラフラするな。
一つでいいから分かるまで考えろ。自分の頭で考えろ。僕がいった事で今日分からない事ないだろ。
あんまり詳細までいかなかったけど、僕が言ったことはそんなに易しいことでもないんだよ。本質的で重要な事は大体やさしい。これはアインシュタインが言ったんだよ。神は単純なことを望む、って。その後の計算は難しいけど、本質はシンプルなんだよ。計算は出来ないけど、ここの本質はなんなんですかって聞きなさい。先生は分かっているはず。そういう本質を、最初は単純でいいから頭の中に構造を作るんだよ。でも作る努力をしていってみると、だんだん構造が明確になってくる。これ大事だぞ。構造化を意識しろ。あちこちに首を突っ込め。そして大事なのは、人と話をする。ってこと。ものを分かる一番いい方法は分かっている人に聞くことなんだ。
分かってても教えるのが下手な人がいます。でも、分かって無いのにうまく教えてくれるって人はまずいません。分かってる人で、相手のことまで考えて話してくれる人に聞いて御覧。ものすごくよく分かるから。それから本読みなさい。嫌と言う程分かるよ。本読んで分からなかったからって、自分が悪いって思っちゃいけない。ほとんどの本は、素人が読んだって分からない。安心していい。専門以外の人が読んで分かる本は本当に少ない。本当にいい教科書は厚い。全部読めっていってるんじゃあない。そのかわり委細漏らさず書いてある。専門家ってのは、委細漏らさずそれをやる。
二つ別のことを言ってる様に聞こえるかもしれないが、違う。あちこちやって、面白いと思ったことを徹底的にやりなさいということだ。だけど、徹底的にやりつつもあちこちやりなさい。人の話は年中聞くくらいのアンテナを張りなさい。2つくらい徹底的にやると、他の徹底的にやった人のことが割合分かりやすくなる。これが勉強にいいところなんだよ。
僕は3年前までは20年以上駒場で講義してて、なんとか駒場の奴を元気にしたいと思ってます。去年は1個だけで、サバイバル英語入門。昔は2000人位応募あって、5、600人最後まで聞いてたんだよ。今年はこれだけ。たまにやるから嬉しくなっちゃう。
質疑応答Q.先生のビジョン2050なんですけど、それはすごい出来たらいいなと思うんですが、もしそれを妨げる要因が出てくるとしたら何だと思いますか?
A.非常に抽象的に言えば、人間が決断できるかだと思うよ。やるだけの力は、今すぐこれが全部とは言わないけど、今の科学技術のトレンドを見ればこれだけのことをやる力は持ってる。後は、本当にやるかどうか。だから、本当に出来るかどうかってのはいろんなものがあるでしょうね。政治なんてのも大きいと思うよ。ブッシュの間は多分駄目だろうね、ハッキリ言うと。ゴアだったら違ってただろうね。そういう影響も大きいと思います。それから日本だったら、小泉首相がなんて言うかが大きいでしょ。政権持続だけ考えている様じゃ困る。地球持続じゃなくて政権持続のテクニックなんかだけ考えている人が上にいたら駄目だよね。やっぱり、でも最後は社会だよ。最後は我々が本気でやるかどうか。君が僕のをいいと言ってくれたのは嬉しいけど、ホントにみんながいいと思うかだよ。だから、コミュニケーション見たいな技術がすごく重要になってくんじゃないかな。社会がどうやってコミュニケーションしていくのか、ね。
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