タイ・スタディーツアーに参加して

2005年8月2日〜18日にかけて、桐生朋文さん[10期,農学部3年]が企画したタイへのスタディーツアーに参加してきた。訪れたのは北部タイの数ヶ所。今がちょうど雨期にあたるタイは東京よりも涼しいくらいで過ごしやすく、参加者9人が共に行動した17日間は本当に充実した、夢のような日々だった。 【文責 13期・丹羽桃子】

ツアー前半-タイになじむ-

写真1ツアーの前半は導入期ということで、現地の人々との交流がメインだった。ホームステイや中学校での教師体験…etc。ホームステイ先の家族も、子供たちも、初めて出会った日本人である私たちにとても親切で、おかげでタイという国に早いうちに馴染むことができたように思う。

ツアー後半-タイの実情-

写真2ツアーの後半になって、ここから本当の「スタディー」ツアーが始まった。エイズ関連のNGOを訪れて、それまで観てきた「微笑みの国」のイメージとはまるで違う、タイの実情を知った。HIV感染、マイノリティーへの差別、虐待…。日本とは比べものにならないほどの割合で、こういったことはタイの社会にあふれている。実際に苦しい経験をされてきた方を前に、私はかける言葉が見つからなかった。そんな中、彼らは私たちに本当に気さくに接してくださり、その笑顔を見て自分のほうが励まされた。毎日行っていた夜のミーティングにおいても、この頃から活発に意見が交わされるようになった。感じることが多かった日々の中、皆と考えを共有し合えたのは本当に良いことだったと思う。

衝撃的だったスラム

写真3ツアーの最後には、スラム関連のNGOを訪れた。スラムは、私にとって衝撃的な場所であった。通り道にまで散らかっているゴミ。強烈な臭い。私はただ圧倒されるばかりで、失礼ながらも「なんてひどい場所なのだろう」と思った。なかでもその汚さが気にかかり、どうしてゴミを拾わないのか、拾って掃除をすればもっと綺麗になるのに…と感じ住民の行動が不可解だった。しかし、そのあとNGOスタッフの方とお話する中でなぜスラムが汚いのか、少しずつ分かってきた。そもそもスラム住民にとっては不衛生がどれだけ危険か、などといった知識が全くないのだ。加えて、自分の家さえ綺麗ならよいと考え他人の家の前に平気でゴミを捨てる。もちろんゴミ分別という発想などはない。これらのことを知り、環境三四郎で関心がもたれているような問題を考えるには、前提として最低限の教育や、地球のことにまで関心をもつことのできる生活の余裕が必要なのだということを痛感した。環境問題とは決して社会問題と切り離せないものなのだと改めて思った。

ツアーでの収穫

写真4今振り返ってみると、タイの魅力的な面とその裏にある厳しい現実という両面を同時に見せつけられたために、ツアー中はいろいろと混乱してしまうことが多かったように思う。しかし、タイで頑張っている日本人のNGOスタッフの方たちがあまりにも優しくて強い、素敵な人たちだったので、この人たちのような人間になりたいという気持ちが確実に私の中に芽生えた。そういった人達との出会い、そして一緒に行ったメンバーや現地の人々との出会いが私にとって一番のツアーでの収穫だった。このツアーを終えて、自分がどう行動するかは本当に自分次第なのだと思う。私はやはりまず、いろいろな場面でNGOの方から言われた「あなたがタイで見たことを、一人でもいいから他の人に伝えてください」という願いを叶えることから始めていきたい。このスタディーツアーが今後の自分の行動のきっかけになる、そう思っている。

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