私は、東京大学・マサチューセッツ工科大学・スイス連邦工科大学・チャルマーズ工科大学連名の研究共同体Alliance for Global Sustainability(AGS)を母体とした、東京大学での地球持続性に関心を持つ学生団体であるUT Student Community に学部3年の春から関与するようになり、現在AGSメンバー大学と他2校で作られている学生ネットワークWorld Student Community for Sustainable Development(WSC-SD)の中でネットワークの運営委員、及び広報委員長として活動している。 今回は、WSC-SDにおける17人の派遣メンバーの中で、3人の東大代表の1人として、ヨハネスブルグで行われた「持続可能な発展に関する首脳会議(WSSD)」に参加してきた。(斉川英里さん(7 期:工学部4 年) による報告) 現地の様子----- 百聞は一見に如かず-----8月23日から現地入りし、26日から9月4日までサントン地区で行われたサミットを傍聴して、9月7日に帰国するというスケジュールだった。その傍ら、ナズレック地区ではWSC-SD及び東大での私たちの活動についてポスター発表を行ったほか、WSC-SDでの活動から派生して出来た一つのプロジェクトが、サントン地区でサイドイベントを行ったりもした。また、国連会議の傍聴を主としながらIUCNのセミナー、及びウブントゥ村といったパラレルイベントに参加出来たことは、「様々なステークホルダーが環境問題(私個人的には特に生態系保護や、遺伝子操作からくる問題)をどのように政策に取り込もうと考えているかを知る」を主要テーマとしていた私たちにとっては、立場の異なる人々の意見を一度に知ることが出来、非常に意義深かったと言える。 しかし実際にヨハネスブルグに行って私が感じたこと、それははっきり言って充実感ではなく、苛立ちであった。会議を傍聴していても、ほとんどが抽象的な話であり、生産的でなかっただけでなく、日本人の政治家に失望する事が多々あった。日本語で話すことが多かったのは既に予想できていた事態だったが、その日本語のスピーチでさえも書いてあるものの棒読みであったり、英語であったときでも遅刻してきて自分のスピーチが終わったらそそくさと退出したり、といった場面も見受けられた。「オールジャパン」でがんばっていきたい、という文句だけでなく、実際に政治家、科学者、学者、企業家、NGO、主婦など様々な層からなる人々が共に環境問題に対して働きかける事が可能な柔軟な体制が必要である事を改めて痛感せざるを得なかった。 サミットを振り返って私にとって今回のWSSDは南アフリカの現状を垣間見るという点で学ぶ事が多かったと言える。高級住宅地サントン地区で数多くの警官が取り囲む中サミットが盛大に開かれている一方で、ソウェトやアレクサンドラのような黒人居住区では今まで私が一度も目にしたことのなかった貧困が存在していた。非常に独特な歴史や風習を持ち、いまだにアパルトヘイトの影響から国内に様々な問題を抱えているこの国でサミットが行われたことが少しでも私たち先進国に住んでいるものの目を開かせ、将来、持続可能な発展が可能になることを願うばかりである。 |