所属:
東京大学大学院農学生命科学研究科野生動物学研究室
講義タイトル:
生物の多様性とその保全
講義内容要旨
地球上には1,000万種とも3,000万種ともいわれる生物が存在している.生物は
なぜこのように多様なのだろうか.どんな仕組みによって多様でありえているの
だろうか.また,どのようにして多様になってきたのだろうか.講義の前半では,
こうした生物の多様性の意味,仕組,進化の問題についてのべる.後半では,今
日,大きな問題になっている生物多様性の保全の問題について議論する.ここで
は,生物の多様性はどの程度消失してしまっているのか,消失の原因は何なのか,
多様性を保全するとはどういうことなのか.保全の具体的な方法としてどのよう
なことが行なわれているのか,などを問題にする.
参考文献
樋口広芳編『保全生物学』(東京大学出版会)
環境問題について関心をもったきっかけ
鳥類の生態研究を通じて,日本や世界の各地で多くの鳥類が減少している実態
を見た.減少原因などを調べていくうちに,ほかの諸生物や無機的環境とのかか
わりや,人間と自然との共生のあり方などにも関心をもつようになった.減少し
ている動植物や自然環境を保全するために微力を注ぎたいと思うようになり,主
に研究を通じて生物多様性の保全にかかわりたいと考えるに至った.
現在の取り組み
最近は,主に渡り鳥の保全の問題に取り組んでいる.とくに人工衛星を利用し
て,渡りの実態を詳細に追跡している.また,衛星画像を解析することによって,
生息地の環境特性をも明らかにしている.関心のある方は,樋口広芳編『宇宙か
らツルを追う』(読売新聞社)を参照されたい.
学生へのメッセージ
環境問題への取り組みは,いろいろな発想,いろいろな方法で行なうことがで
きる.若い皆さんの自由な発想と斬新なアイデアに期待したい.
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