第十一回 田中 優 (たなか ゆう)教官


所属: 「市民フォーラム2001」共同代表ほか、環境NGO、開 発NGO、フェアトレードや自然エネルギー、金融などのNPOに所属している。職業 は地方公務員。

講義タイトル 環境破壊のメカニズム

講義内容要旨

 身近なゴミ問題に始まり、「なぜリサイクルができないのか」を問う中から、資源価 格の問題、南北問題、ODAや国際金融機関の問題へと問題を広げて見る。さらには私 達に身近な郵便貯金による資金がどのように使われているのかを調べ、社会システムと しての環境破壊のメカニズムを追う。

 いくら「地球にやさしい暮らし」をしようと「ライフスタイルの変革」をしようと、 現在の環境破壊をくい止められることはない。なぜなら原因に迫っていないからである 。対策は原因が分かって初めて作れるのであり、原因の追及なしに問題を解決できるこ とはない。その原因を社会システムに見ようとする試みの講義である。

参考文献

田中 優「環境破壊のメカニズム」北斗出版

グループKIKI「どうして郵貯がいけないの」北斗出版

市民フォーラム2001ブックレット(1)〜(4)

環境問題について

 私は子供ができてから環境問題を始めた。それまでも関心はあったが、どこか傍観者 的で、結局は逃れることのできる問題として見ていた。しかし子供への責任として捉え た時、私はそれまでのモラトリアムではいられなくなった。

 この問題はおそらく、学生の皆さんが生きている間に現実問題として襲ってくる問題 であろう。しかし誰もが互いにかばいあうように、現実の問題、自分自身の主体的な問 題として捉えていない。そのような現状に危惧を抱いている。一昔前、「自己否定」と いう言葉が流行したが、自分を一度、根本から否定してでも現実感覚を取り戻してほし い。それなしにはおそらく、環境問題は解決できないと思う。