氏名
城山 英明(Shiroyama Hideaki)
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所属
東京大学大学院法学政治学研究科
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参考文献
ジャネット・ブラウン他、『地球環境政治』有斐閣。
創文 2000.3 pp.6-9 環境政策と企業戦略の交錯
創文 1997.1.2 pp.30-34 国際環境のガバナンス
学士会会報 No.821 pp.94-98 対中環境援助の構図
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講義内容要旨
国際環境政策の実施手段としては、環境規制、あるいは能力の十分でない発展途上国に対しては環境援助が考えられる。これらの政策手段を実際に用いていく際にどういう問題があるかを具体的事例に則して考えたい。具体的には以下の3つの内容になる。
(1)リスク評価、外部性、環境と経済の関係等環境政策の基本的問題について考察する。
(2)自動車環境基準を素材として、環境規制の差異化と調和化について検討する。 しばしば、各国の環境基準の違いが貿易障壁として議論されるが、それがどのような意味を持つのかについても考える。
(3)中国における石炭燃焼問題(これは主要な硫黄酸化物排出源=酸性雨の原因、かつ、二酸化炭素の排出源=地球温暖化の原因)を改善するための環境援助の実態を素材として、援助の実効性に影響を与える国際的、国内的要因について考察する。
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先生にとっての環境問題とはなにか (or環境問題の解決にむけての鍵となるものは)
環境政策は個別の独立した政策領域というよりは、様々な政策領域を横断する政策であるという性格を持つ。例えば、地球温暖化対応政策は、土地利用政策であり、交通政策でもあり、エネルギー政策でもある。従って、限定された領域の環境問題として対応するだけでは十分ではなく、個別政策領域を越えたシステムの全体的対応を設計する必要がある。しかし、全体的対応を現実の社会のダイナミズムを離れて抽象的に設計することもできない。いかにして個別的対応の戦略を全体的対応にリンクさせるのかが環境問題解決の鍵になるのではないか。
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講義までに学生に考えてきてほしいこと
(1)環境政策の基礎になる科学的情報には不確実性が付き物です。それでは、不確実性をどのようにあつかったらいいのでしょうか。不確実でも何か起こったら大変なので予防的に対応すべきなのか、もう少し確実なことがわかるまで待つべきなのでしょうか。
(2)経済的な動機というものは環境問題への対策においてマイナスなものなのでしょうか。あるいはうまく経済的動機を使うことで環境問題への対応に寄与できるのでしょうか。
(3)例えば中国の現状ではエネルギー源のうち7割以上を石炭に頼っています。このような現状の中で、石炭はダーティーなエネルギー源であるとして、国際的援助の対象を再生可能なエネルギー源に限定してしまうことは正しいことなのでしょうか。
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