氏名
原田 正純(Harada Masazumi)
|
所属
熊本学園大学教授
|
参考文献
原田正純「水俣病」、「水俣病は終っていない」(岩波新書)
「水俣が映す世界」(日本評論社)
「裁かれるのは誰か」(世織書房)
「専門家による負の装置」(分担執筆)『越境する知 4、栗原彬ら編』(東京大学出版会)
|
|
講義内容要旨
環境問題とは差別の問題である。決して技術と金だけで解決できる問題ではない。最近は環境問題の研究者が増えた。それはいいのだが、現場が軽視される傾向にあるような気がする。地球規模のグローバルな問題も大切だが足元の具体的な問題が大切だ。数字や統計も大切だが実際に目で見ることはもっと大切だ。傷つかないところにいては環境問題は解決しない。現状では環境を研究する視点は弱者の立場に立つこと、バリアフリー(学問領域、学閥、専門家と市民との枠を超えて)であること、現場主義、変革の科学であることが必要である(水俣学と呼んでいる)。
- 水俣病の発見と原因究明の過程(生理的弱者、社会的弱者に)
- ハンターラッセル症候群(職業病と公害病の接点と相違)
- 厚生省や東京の学者の役割(専門家の責任)
- 環境汚染と食物連鎖というキーワード(水俣病と言う病名)
- 世界ではじめての胎児性水俣病の発見と証明
- 臍帯水銀値(胎盤を通過する物質としない物質)
- 新潟水俣病の発生(過ちは二度繰り返された)
- 慢性水俣病(水俣病の全貌は明らかにされていない)
- 病像論(裁判の争点は)
- 環境庁の態度
- 世界に広がる水銀汚染(水俣をよりよく理解するために旅に出る)
|
考えておいてもらいたいこと
- 水俣病は公害の原点と言われる。それはなぜなのか。単に規模や事件が悲惨であったということではない。
- 水俣病は終っていないというが、それはなぜなのか。どうして、患者の叫びが霞ヶ関や永田町にとどくのに40年もかかったのか。
- 胎児性水俣病のもつ全人類的意味は何なのか。胎盤はもはや胎児を安全に護ることができなくなってきた。
- 水俣病は20世紀の負の遺産である。21世紀に教訓として残すためにはどうしたらよいのか。
- 水俣病事件ではチッソの責任はもちろん、国の責任も問われてきた。国の責任の影には官僚、専門家(学者)が関与してきた。専門家とは何か。
|