「えこみゅにけーしょん」(以降「えこみゅ」)とは、大学で環境問題に関することを学びたいと思っている高校生を対象に、今まさに大学で環境問題を学んでる大学生が開催する、進路相談会。エコ・リーグ(全国青年環境連盟)のイベントとして行われている。例年、関東と関西で1 回ずつ開催されていて、基本的に運営は別々だ。 今回の「三四郎の仲間たち」では、この「えこみゅ」にスタッフとして関わる春原麻子さん(9期:教養学部3年)を取材した。【記者:濱口真衣】 「えこみゅ」って何?- 「えこみゅ」とはどのような団体ですか?運営や理念について教えてください。 最近流行のように「環境」と名のつく学部が増えてるけれど、実際行ってみると、環境問題につながるようなことをほとんどやってなかったり、逆に「環境」と名を冠していなくても、環境問題について有意義な勉強・研究のできる学部だっていっぱいあります。でも、高校生にはそういうところが見えにくいでしょ? 大学が公式に出してる学校案内じゃ、実情はわからなかったりするし。だから、実際に通ってる大学生がいろいろぶっ ちゃけて話しちゃおう!…って感じかな。 各大学から集まってもらった大学生カウンセラーがブースを出して、高校生が好きなブースに分かれて自由に質問する…という相談会がメインなのですが、(因みに、2 0 0 2 年(第4 回)東京会場では2 3 大学35 学科46 人のカウンセラーが集まりました。)毎年、相談会だけじゃなくその前後に何かしらのイベントをやっています。例えば、環境問題に関連する講演会とか、パネルディスカッションとか、参加者もスタッフも一緒になって交流会とか。 数人のコアスタッフが、そうした企画を立案・準備して、相談会のために各大学からカウンセラーを募って、広報して高校生を集めて、当日とりしきってます。当日は忙しくて、いくらでも人手が必要だから、当日スタッフっていう「えこみゅ」開催日だけ手伝ってくれる人もいっぱいいます。 進学相談会なら、他にも色々な所でやっているけど、「えこみゅ」は、「環境」をテーマにしていることと、コアスタッフ、当日スタッフ、カウンセラーなど、みんなが基本的に大学生ということ、その2 点が大きな特徴だし、他にはない強みだと思っています。 - 広報はどのようにしているのですか、資金は? 広報が例年いちばん苦労するんですよね…。新聞や受験専門誌、各予備校が作っている雑誌などに記事を出してもらったり、高校や予備校にポスターを貼らせてもらったり、チラシを置かせてもらったり。あと、HPもあります!見てね(http://www.eco-2000.net/ecomu/) 資金は、エコ・リーグからの予算と、参加者から少々の参加費をいただいています。 - 春原さんが「えこみゅ」と出会ったきっかけは何だったのですか? 実は、私自身が高校2 年のとき「えこみゅ」に行ったんですよね、参加者として。その年(1999年)が第1 回で、新聞でわりと大きく紹介されてたんです。それで知って、面白そうだと思ったから電話かけて申し込んで。 そもそも私、その頃は「環境問題に興味あります」なんて家族と、ごく一部の親しい友達にしか云えなかったんですよね。なんでだろう?なんか人に話すのが無性に気恥ずかしくて。でも、当日「えこみゅ」の会場には、参加者として2 0 0 人もの高校生が集まっていました。 その「えこみゅ」を運営しているスタッフ自体、大学生なわけだし。自分と同じ志を持つ同年代ってこんなにいるんだ!って驚いたし、嬉しかったし、「私もこの道歩いていこう」と自信もついて、それ以来、周りにどんどんカミングアウトするようになったのです(笑)。今の私のキャラクターは、「えこみゅ」に行かなかったら形成されなかったかも知れない。ついでに、その「えこみゅ」の会場で三四郎のことも知って。環境三四郎に入るのが、東大の1 つの志望理由にもなったので(笑)。そういう意味でも、「えこみゅ」に人生変えても らったと思うんですよね。 - なぜスタッフをやろうと思ったのですか? 大学生の私が 「えこみゅ」と再会したのは、2 0 0 2 年の春。エコ・リーグの新歓イベントで、「えこみゅ」のブースに行って「スタッフやってみませんか」って勧誘されて。三四郎でフルに活動をしていたから、あんまり時間の余裕はなかったけれど、「えこみゅ」には恩義を感じていたので(笑)できる限りのお手伝いができればと思い、第4 回「えこみゅ」のスタッフになって来場した高校生に配る「学問分類情報」っていう冊子の作成を担当しました。 でも、冊子の作成以外はほとんど何もやらなかったのが私の中でちょっと不完全燃焼だったので、3 年になれば三四郎にそこまで時間割かないようになるしとも思って、第5 回では、コアスタッフとしてばりばりやることにしました。 - スタッフとしてどのようなことをしているのですか? 今は、企画を考えています。つまり、相談会以外に何やるかってことですね。より高校生のニーズに応えられるような、私たちが高校生に伝えたいことを伝えられるような、しかも広報に耐えるだけの新鮮味・魅力のあるそんな企画を…と考えていくと、スタッフ1 人1 人の意見の相違もあって、議論が尽きない。本来の目的である相談会には十分時間をとらなきゃいけないし、高校生はあんまり夜遅くまでになってしまうと参加できないという時間的制限もあるし。その中でいかに充実した「えこみゅ」にするか、というところが難しくもあり、面白くもありっていうところですね(笑)。今後、私はカウンセラー集めを担当する予定。高校生に満足してもらえるよう、できるだけ幅広い大学・学部を揃えたいし、わざわざ時間と労力を割いて来てくれるカウンセラーの皆さんにも「参加してよかった」って思ってもらえる工夫をしたいなと思っています。 - 相談された高校生から何か学ぶことがありましたか? 一番心に残った出来事・言葉を教えてください 実はね、高校生からの相談に応えるのは、「えこみゅ」スタッフが集めてきた、各大学の学生カウンセラーで、スタッフ自身は進路相談は受けないのです…しかも、カウンセラーは3 年以上の人ってことになっているのです。(そのくらいの学年じゃないと、その大学・その学部でどういうことが研究できるかちゃんと答えられないので…) 昨年は、あんまり来場してくれている高校生とコミュニケーションとれなかったことが後悔として残ってるので、今年は思い出を作れるように頑張ります(笑)。 - 高校生の「えこみゅ」に対する反応はどうですか? 当日、会場に来ている高校生の表情を見たりアンケートを読んだりしている限りでは、満足度は高いです。高校生にとっては大学生と身近に接することができるっていうのが魅力みたい。ただ、来場してくれる高校生には喜んでもらえても毎年参加者が思うように集まらないのが残念。(2002 年で、51 人…)ひとえに、広報が難しいというか…毎年、安定して行われる恒例企画になってしまうと、新鮮味が薄れるので新聞もあまり大きく取り上げてくれなくなったりするし。知って、来てもらえさえすれば、絶対後悔させない自信はあるので今年は広報に更に力を入れようということで、一同いろいろ考えています。 - スタッフとしての抱負を教えてください。 来てくれる高校生の中には、環境問題がやばい!と使命に燃えている感じの人(昔の私のような…笑)もいればあんまり関心もなかったけど、なんとなくや友人のつきそいなんかで来てくれる人もいます。燃えている人には、更に関心を高めて欲しいし、ただ使命感に燃えるだけでなく、純粋に色々活動や勉強をするのが楽しかったり…という部分も感じとって帰って欲しい。(私自身、高校生として参加したとき楽しそうにスタッフやっている大学生たちの姿に刺激を受けたので。)できれば、もともと環境問題にそんな関心もなく来場してくれた高校生にも「なんか面白そう?」って、ちょっと関心を持つきっかけを作りたいです。結局、若い人たちの関心をいかに引き出すか?というところだと思うので、環境問題に取り組みたくてしょうがない!という人を増やすように頑張ります(笑)。私にとっても、「えこみゅ」が1 つの大きなターニングポイントになったように、今度来てくれる皆、1 人1 人にも何かを持ちかえって欲しいな、と思っています。 |