お薦め本(泉、細見、田中、梅井、竹内)

 目次

0期 泉(桂)さんのお薦め:地球を汚さないシリーズ(2) 捨てない主義で「布」生活 自然食通信社 八田尚子他 1 2 0 0 円

9期 細見さんのお薦め:街角のエコロジー 見えない自然のはたらきを見る 玉川大学出版部 三島次郎著

7期 田中(佑)さんのお薦め:定常型社会 岩波新書新赤 広井良典著

10期 梅井さんのお薦め:環境を守るほど 経済は発展する 朝日新聞社 倉阪秀史著

9期 竹内(一)さんのお薦め:部分と全体 みすず書房 W . H e i s e n b e r g

0期 泉(桂)さんのお薦め 地球を汚さないシリーズ(2) 捨てない主義で「布」生活 自然食通信社 八田尚子他 1 2 0 0 円

この本は環境問題について学術的に考えたい人には不向きです。みなさんは社会的に日々の暮らしを成り立たせていくことと環境低負荷型の行動をとろうとすることとの間で常にジレンマに陥ることはないでしょうか。私も日々このようなジレンマに直面している一人であり、とりわけ衣服の購入欲は絶ちがたいものがあります。この本は新しい服を買わなくても手作り・リフォームという別の「喜び」があることを教えてくれました。学術書ばかりを読んで頭が固くなってしまった人、裁縫大好き!の人にお勧めです。

9期 細見さんのお薦め 街角のエコロジー 見えない自然のはたらきを見る 玉川大学出版部 三島次郎著

三島先生は桜美林大学名誉教授で、昨年1 0 月に参加したT R M ( 多摩川流域リバーミュージアム) スタッフ研修の際にお会いしました。生態学の視点から、普段何気なく過ごしている中では気づかない小さな自然や、そもそも自然とは何か、またビオトープを作る際にはどのようなことを注意すればよいか ということなどをとても面白く楽しくお話してくださいました。この本はそんな三島先生の話のエッセンスが詰まった本です。
 「雑草と呼ばないで」「ドングリはなぜ丸い」など素朴な疑問や意見が5 0 話書き綴られています。ぜひ一度読んでみてください。個人的には三島先生本人に会うことをおすすめしますが・・・(非常に面白い方なので本 を読むよりずっと楽しいです) 。

7期 田中(佑)さんのお薦め 定常型社会 岩波新書新赤 広井良典著

私たちの社会は様々な課題を抱えている。環境問題もその1つであろう。それぞれの課題に対しては多くの処方箋が出されているが、複数ある課題を同時に克服できるような社会のv i s i o n は存外論じられていないように思える。本書はそこに正面から挑んだ好著である。社会保障論を専門とする筆者は、市場経済・社会保障・環境保全が同時に成り立つ社会のあり方として「定常型社会」を唱える。自然・共同体から自立する過程の中で市場経済を築いてきた人類社会が、その過程の延長として再び共同体や自然とのつながりを求めていくという主張は、社会全体のv i s i o n として示唆的である。個々の論点には疑問をもたれるかもしれないが、これからの社会の展望を考えるきっかけとしてぜひ一読をお奨めする。

10期 梅井さんのお薦め 環境を守るほど 経済は発展する 朝日新聞社 倉阪秀史著

環境と経済に関する本としては一番読みやすくオススメです。「環境経済学」という学問としてではなく、一般書として誰にでも分かりやすく書いてあります。
「ごみを出さずにサービスを売る経済学」の提案を目的とし、その背景や必要性が順番に説明されています。経済という日常生活とは切り離せない分野から見た環境のとらえ方を学んでみてはいかがでしょうか。

9期 竹内(一)さんのお薦め 部分と全体 みすず書房 W . H e i s e n b e r g

量子力学の提唱者の一人である、かの「不確定性原理」で有名なハイゼンベルグの随筆である。「理論物理学」というと、一見純粋で無機的な感覚を抱くが、実はそこにも人間の所産であるがゆえの生々しさがあることが、この本を読むと感じられる。また、ハイゼンベルグが青年期、純粋な理論の世界に没頭していたわけではなく、(戦時中という世相もあってか)政治的な活動もしていたことなどが克明に記されており、比較的安穏とした時代に生きている私たちには、新鮮な味わいがあると思う。
 現代は、文系の分野にも「人文科学」、「社会科学」というように「科学」という言葉が付けられてしまっている時代である。しかし、「科学」をする前に問うべきことがある。科学で探求されるべき「真理」とは何か?「真理」とそれに対峙する自分との関係はいかなるものか?
 この本にはそれらの問いを考えるきっかけが散りばめられている。「因果関係」を追求することが主要なテーマとなる環境科学を目指す若い人にはぜひ読んでもらいたい。

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