環境三四郎ドイツ研修プロジェクトでは、2000年9月下旬、ドイツ連邦共和国(以下ドイツ)を訪れ、フライブルクとマインツという南西のニ都市で現地調査を行いました。
ねぇ四郎、「ヨーロッパの環境への取組みは日本より進んでいる」ってよくテレビとかで言われるけど、ああいう番組を見ると、日本ももうちょっとがんばんなきゃって思わない?
じゃあヨーロッパが日本より進んでいる点って、どういうのを思いつく?
えっとー、たとえばドイツとかでは環境教育がすごくて市民も環境への意識が高かったり、ごみもきちんと分別されていたりするんじゃないの?
そうだね。あ、でもその前に、ドイツと日本で国としての基本的な違いがあるんだけど、知ってる?
うーん・・・ドイツは連邦国家だってこと?
そうそう。16の州からできてて、その一つ一つが、一定の制限のもとで主権を持っているんだよね。日本とは国の仕組みがだいぶ違うから、単純に比べることはできないんだ。
「フライブルク」っていうところが環境首都として有名なんでしょ。確か四郎は行ったことがあるんだよね。
うん。いい街だった。1992年に「BUND」っていう環境NGOから環境首都として選ばれたんだ。
どういう点が環境首都なんだい?
1つは交通で、フライブルクには「自転車用道路」ってのがあって、街で一番便利な乗り物は自転車って言われているぐらいなんだ。反対に車は使いにくくなっていて、市の中心部はほとんど石畳の道路で、しかもすごく狭い道もあったりで、市内への通勤や買い物には電車とかの公共交通に乗り換えていくことが奨励されているんだ。
へー。でも公共交通ってお金がかかるから大変じゃない?
そのこともちゃんと考えられてて、地域環境定期券「レギオカルテ」っていうのがあるんだ。これ1枚でフライブルク市とその周辺の公共機関、民間企業、国鉄近距離線が乗り放題になるっていう券なんだ。大人1ヶ月で60マルク(約3000円)で売ってるんだ。
それ、すごいね!バスから電車までOKなんだ。
うん。路面電車とかも整備されててとても使いやすかったよ。
うーん。なんか一回行ってみたくなったぞ。
さっき三郎は「フライブルク市民は意識が高いんじゃないか」って言ってたけど、簡単にそうは言えないと思うな。
なんで?
『ドイツと環境問題』の報告書のなかに、市民の意識について書いてある部分があるんだ。フライブルク在住のドイツ人の家庭を訪ねてインタビューしたらしいんだけど、その人は 「フライブルクが環境首都だと言われるのは疑問。確かにレギオカルテはよくできた制度だけど、フライブルク市民が他の地域に比べて環境意識が高いとは思えない。」 ってことを言ってたみたいだよ。まあ、あくまでも一人の人の意見だから、一般化することはできないけど。
ふーん。日本ではテレビ番組とかで大々的に取り上げているけど、そこに住んでいる人は特に「自分の街は環境首都だ」って意識していないのかもしれないね。
他にもこの報告書にはソーラーエネルギー、環境教育、緑の党とBUND、黒い森と酸性雨、マインツの清掃センターなどについても書かれていて、とっても興味深かったよ。
おもしろそうだから俺も読んでみよっと。