なぜ、水俣病と環境問題を比較するのか。一つには、今回、環境の世紀8では、原田先生・松原先生・宇井先生・(舩橋先生)と、多くの先生が水俣病を扱っていました。多くの先生が扱っていた題材を元にするのが、全体の講義をまとめやすかった、という都合もあります。
もう一つには、環境問題は、公害がより複雑に・広範に発展したものである、との見解があります。しかし、なぜこれほど多くの先生が水俣病問題について話されるのか、を疑問に思った人もいるのではないでしょうか。
ここで、質問です。以前から、(環境の世紀を受講する前から)公害と環境問題のつながりを意識していた、という方はどれくらいいますか。水俣病問題を地球環境問題は、異なる性質のものだと、思っていた人はどれくらいいますか。今もそう考えている人はどれくらいいますか。
公害は過去の失敗、ローカルな問題で、地球環境問題とは規模が違うのだと思われていた人も多いと思います。もちろん、公害と環境問題とは、異なる要素も多いでしょう。まずはここで簡単に公害と環境問題との相違点について触れてみたいと思います。
6・29に放射性廃棄物を事例に講義していただいた舩橋先生は、
1. 原因の拡散性のレベルが異なっている
2.公害の原因主体は企業などと特定できましたが、原因主体が個々の市民一人一人である。
3.汚染の自覚の困難性がある。現在、自動車の排気ガスを吸っていたって、すぐに死ぬわけではありませんよね.
4. 現前している事態と、予想される事態のギャップがあるということもある。
これらの点が、環境問題を複雑、かつ解決をむずかしくしているといえるでしょう。しかし、原田先生・宇井先生・松原先生・舩橋先生の講義を聞いて、自分が共通点よりも、異なる点にばかりとらわれていたことに、気づかされた人も多いのではないでしょうか。今回は特に、現代の私達に見落とされがちな、水俣病と地球環境問題の共通点から、論点を挙げていこうと思います。
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